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その言葉を「あの遺体は春木勇さんのものと確定しました」と時也がさえぎった。
それから「遺体は発見された時顔をタオルで隠して手足を大きく広げ腹部には日本刀が刺さっていました。首の骨とそこにある大事な神経が駄目になった事が致命傷である可能性が高いそうです。これで満足しましたか笠原さん」と言うと、笠原は目を白黒させながら「そ、そりゃなんともけったいな殺し方やなあ」と言った。
「確かにね。さあ、もう良いでしょう。お帰りください」と時也が言うと笠原は決まりが悪そうに「じゃあ」と言いながら時也に背を向けた。
「待ってください」
未名月は笠原を引き留めた。
「最初からあなたは春木勇さんに何かあったものと考えていましたね。それは何故ですか」
「今朝7時頃勇さんの息子の勇一君から電話で、勇さんが家にいないんだが知らないかって聞かれたんだ。その後こんなにパトカーが来たら、誰だって勇さんに何かあったと思うだろう」
「それはそうですね」
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