未名月ゼミによる考察

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「以前からこの辺りの住民は麻賀津原に入ると良からぬ事が起きると懸念(けねん)していました。そんな中このような事件が起きたのです。誰が犯人でも住民たちは私たちが麻賀津原に入ったせいで事件は起こったと思い、あなた方に嫌がらせをするかもしれない。そのように考えて笠原さんを追い払おうとしたのです」 「ですが笠原さんは先生のおっしゃるとおり、事件の事をあなた方のせいにはしなかった。それなのに疑って。笠原さんには悪い事をしました」と、時也は未名月に語った。 「先生、もうそろそろスマホを返してください」  午後3時過ぎ、ようやく警察の事情聴取から開放された未名月ゼミの一行は、春木家の離れに帰ってきた。持ってきたお菓子を開けて食べるなどそれぞれがくつろぐ中、春日が未名月に頼んだ。 「事件の印象が強い内にスマホを手にするとネット上に余計な事を書き込んでしまう可能性がある。だから駄目だよ。君たちは知らないだろうが、ネットに軽い気持ちでした書き込みのせいで、若者が大変な目にあう事態が続出しているんだよ」
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