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事件が起きた時未名月が真っ先に心配したのは恐慌状態に陥っている青柳とその事だった。そのため未名月は青柳を宥めながら、ゼミ長の河地に皆の携帯を集めさせたのだった。
「そんな事、先生に言われなくてもしません」と言う阿東に、未名月は「詐欺事件などでもそうだが自分は大丈夫と思っている人間が一番危ない」と言った。
「大丈夫ですよ。本当にやりませんから」と、阿東が哀れっぽく言う隣から春日が「連絡しないと冲永(おきなが)たちも心配しますよ」と言った。未名月は就活の為にゼミを休んでいる三人の四年生の顔を思い浮かべ「確かにそれは良くないね」と眉根をよせつつ答えた。
「それに両親や友人にも連絡しないと心配すると思います」と河地が意見を述べた。
「それはそうだね。じゃあ、携帯を返すけど、ネットには絶対事件の事を書き込んでは駄目だよ」
「イヤッホー!!」阿東と数人の男子が叫んだ。
未名月はそれを呆れながら見ると言葉を継いだ。
「なお、どうしても事件について話したい者は、私の所へ来るように。気の済むまで付き合おう」
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