未名月ゼミによる考察

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 その夜7時、結局ゼミ生たちは全員未名月の元に集まった。未名月は河地と青柳に本当に参加するのか確認したが「あちらの部屋に二人っきりでいるのは寂しくて、逆に事件の事を考えてしまう」という事だったのでそれ以上何も言わなかった。 「それでは始めようか」と未名月が開始の言葉を告げると、北沢が「はい、先ずは遺体発見の前に起こった怪奇現象から検討したいと思います」と言い出した。 その言葉を受けて「怪奇現象何てあったか」と阿東が問うと、北沢は「麻賀津原に着いた時、先生のスマホが鳴った事に気がつかなかったのか」と勢いよく尋ねた。 「確かに鳴ってたけど。それがどうかしたか」 「どうかしたじゃない。あの電子音は麻賀津原に死体が有る事を予告していたのですよ」北沢は力説した。 「そんなばかな!」  阿東を始め何人かのゼミ生たちが否定すると、未名月も同様に否定した。 「突然前触れもなく電子音が鳴りその後すぐにあのような事があれば、何らかの関連性を疑いたくなる気持ちはわからないでもない。でもあれは、この事件とはおそらく無関係だ」
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