未名月ゼミによる考察

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「でもあまりにタイミングが良いと思いませんか」と北沢は食い下がったが、未名月は「そういう事もたまにはあるよ」と受け流した。だが秘かに「事件とは別にスマートフォンが二回も鳴った事はおかしい。もしかするとあの場所には……。いずれにしても須藤さんに相談して慎重に対処しないといけないな」と心に留めた。 「それよりも先生はこの事件をどう思いますか」阿東が興味津々といった感じで聞く。 「敬一郎さんによる麻賀津原の開発を止められないと悟った勇さんが自分の遺体を麻賀津原に置く事を誰かに依頼した後、どこか高い場所から飛び降り亡くなられたのではないかと思う。もちろん麻賀津原とは何の関係もない事で勇さんに恨みを持つ何者かが、今なら敬一郎さんに嫌疑がかかるから自身の身は安全だと考えて犯行に及んだ。という可能性もゼロではないと思われる」 「なるほど」と阿東が感心していると「大変言いづらいですが敬一郎さんが犯人という可能性も有ります」と町田が新しい意見を出した。  それを受けて室田が「むしろ警察は敬一郎さんを最重要容疑者と見なして事情聴取しているような気がします」と続けた。
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