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「あまり考えたくはないが、勇さんが麻賀津原の開発を止めさせるために敬一郎さんに危害を加えようとして日本刀を持ち出したという事も考えられる」
「その場合、敬一郎さんを襲おうとした勇さんが、逆に敬一郎さんに返り討ちにあったという事ですか」と、町田が聞く。
「その可能性も考えられなくはないが、それだと何故遺体が麻賀津原に置かれていたのかが説明出来ない。麻賀津原の発掘調査が滞る事は敬一郎さんにとって好ましくない事態だろうし」
「先生、それですよ!」阿東が叫ぶ。
「それとは」
「麻賀津原の開発をしたい敬一郎さんが、一時的とはいえ麻賀津原開発の邪魔になる死体を麻賀津原に置く訳がないと皆が思うじゃないですか。それを逆手にとりあえて敬一郎さんが麻賀津原に死体を置いたんじゃないですか」阿東は自説を興奮しながら話した。
未名月はそれに対し「可能性がない訳ではないが、確かな証拠がなければただの仮説に過ぎないという事を忘れてはいけないな」と阿東を諭した。
さらに町田も「そうそうまだ仲間割れ説も検証していないしな」と続けた。
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