チャージ(社会人四年目:十二月)

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 お前、絶対一回じゃきかねぇだろ……眠いんだよ俺は。と思いながらも苦しそうに呟かれては、拒絶するのも可哀相な気持ちになってくる。 「ごめん、チャージさせて」 「……何のチャージだよ……」  軽く呆れて上を向き、渋々目を開けると、ハルの唇が触れた。腰に回された腕に力がこめられ、身体が更に密着する。この体勢、どうやってもお互いの息子が当たるじゃねぇか。身体をよじってみても、ガッチリとホールドされてまるで動けない。  苦しい。……けれど、その苦しさが心地好いとも感じてしまう。  一回なんて、やっぱり嘘だった。  唇が離れても絡み合った舌は離れず、角度を変えて何度も繰り返す。  息が苦しくなるほどのキスが終わり、俺の口からこぼれ落ちる唾液をハルの舌先が舐め取った。  やっと唇が離れ、ハルは大きく息を吐いた後、嬉しそうに微笑んだ。 「省吾の、硬くなっちゃったね」 「言うなっ」 「押し当てられるとそそられる」 「押し当ててんのはお前だろうが、離せばか」 「ごめん」  素直に謝ったかと思えば、腕を緩める事無く俺の首筋に唇を当てた。  チリ、と痛みが走る。 「まったく……明日も早いし、もう寝るぞ」 「うん」  ちゅ、と小さくキスを交わした後、やっと解放された身体をベッドに深く預け、目を閉じた。 (チャージ、ねぇ……)  まあそれで明日も頑張れるなら、いいか。  それに、俺にとってもそれは多分、おんなじだ。  そう考えれば自然と頬が緩む。  隣で眠る恋人と繋がれたままの指先に温かさを感じながら、静かに眠りについた。 <終>
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