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外は雪。
寒いし出掛けるのも億劫だしと、暖房の効いた暖かい部屋の中でさらにこたつに入り、みかんを剥きながらDVD鑑賞。というのはついさっきまでのハルと俺。
で、今の状況。
冷蔵庫を開けた瞬間、後をつけてきたハルに後ろから抱きしめ、いや羽交い絞めにされて、扉を閉めることすら出来ずにいる。
って、この展開おかしいだろ絶対。
「急になにやってんのお前、離せ」
言ってるそばから冷蔵庫の警告音が鳴り出した。せめてドアを閉めさせろ。
「だって省吾が俺に背中を向けるから」
何だそりゃ。
「喉渇いたからビール取りにきただけだし。しかもお前にもいるかとちゃんと聞いたぞ」
「去る後ろ姿を見たら身体が疼いて」
阿呆だ。
「お前ね……どんな発情期だよ。うぜぇ、どけ」
返事の代わりに唇を塞がれ、むぐぐと声をあげても微動だにしないハル。
むかつく。
そうは思っても身体は正直なもので、気付けばじわじわと熱を帯びていく。
ハルに触れられた肌から沸き上がる疼きに、俺はたまらず目をつぶった。
「昼間っからお前、ほんとなんなんだよ……」
「仕方ないだろ、二人で居られる時は、省吾と片時も離れたくないんだ」
からかうように囁くハルの声。
耳たぶを甘噛みされ、ぞわりと痺れが走る。
「外は寒いし、今日は一日中省吾とくっついていたい」
「あほか……」
俺の顔を覗き込み嬉しそうな笑顔を見せるハル。
結局これに流されるんだ俺は。
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