AAA(社会人四年目:一月)

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 外は雪。  寒いし出掛けるのも億劫だしと、暖房の効いた暖かい部屋の中でさらにこたつに入り、みかんを剥きながらDVD鑑賞。というのはついさっきまでのハルと俺。  で、今の状況。  冷蔵庫を開けた瞬間、後をつけてきたハルに後ろから抱きしめ、いや羽交い絞めにされて、扉を閉めることすら出来ずにいる。  って、この展開おかしいだろ絶対。 「急になにやってんのお前、離せ」  言ってるそばから冷蔵庫の警告音が鳴り出した。せめてドアを閉めさせろ。 「だって省吾が俺に背中を向けるから」  何だそりゃ。 「喉渇いたからビール取りにきただけだし。しかもお前にもいるかとちゃんと聞いたぞ」 「去る後ろ姿を見たら身体が疼いて」  阿呆だ。 「お前ね……どんな発情期だよ。うぜぇ、どけ」  返事の代わりに唇を塞がれ、むぐぐと声をあげても微動だにしないハル。  むかつく。  そうは思っても身体は正直なもので、気付けばじわじわと熱を帯びていく。  ハルに触れられた肌から沸き上がる疼きに、俺はたまらず目をつぶった。 「昼間っからお前、ほんとなんなんだよ……」 「仕方ないだろ、二人で居られる時は、省吾と片時も離れたくないんだ」  からかうように囁くハルの声。  耳たぶを甘噛みされ、ぞわりと痺れが走る。 「外は寒いし、今日は一日中省吾とくっついていたい」 「あほか……」  俺の顔を覗き込み嬉しそうな笑顔を見せるハル。  結局これに流されるんだ俺は。
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