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と、そこに、
『全校生徒、及び職員に通達する!』
教室前方のスピーカーから、凛としたアルトボイスが響いた。理事長だ。
怒鳴るに等しい乱暴な語調には、焦りが色濃く滲んでいる。現状の悪さを示しているかのようだ。
『生徒は全員、自分のHRへ移動! 何をしていようと構わないが、教室から動くな!
各教科の責任教諭は、特別自衛権の発動を急げ! 自警団の許可は不要、もとい意味なし!』
特に緊急性が高い時、学園の特別自衛権は、自警団の承認なしで発動できるようになっている。
それ以前に、桜峰の自警団総本山は中心街。今頃あちらは、許可申請の返事どころではないだろう。
『他の教員は分担し、一クラスにつき一人、生徒たちの保護と人数確認にあたること!
あとは各自、私の指示があるまで待機! 間違っても街へ出ようなんて思うな! 以上!』
彼女が叩きつけるように言い終えると同時に、学園が結界に包まれた。
こんな大規模な術式は、シグマらが急襲した時でさえ動かなかった。理事長の強い警戒が窺える。
あまりの物々しさに、クラスメートは全員、表情と言葉を失ってしまった。
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