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静まり返った教室で、木宮がおもむろに立ち上がる。
「あ、えっと、木宮君。なるべく動かないでくれると……」
「理事長は、教室から出なければ何をしても構わないとおっしゃいました」
止めようとする中年教師を一蹴して、重苦しい空気をかき分けるように、慎士に近づいた。
電話番号の他に、複数のウィンドウが新たに開かれている。インターネットへの接続を試みているのだろう。
「どうだ」
小声で尋ねる。彼は肩をすくめ、ため息で答えた。
「ダメだ。電話もネットも繋がんねぇ」
「……そうか」
「街の外と連絡とれねぇのは想像できてたけど、中同士でも繋がんねぇとはな……あの塔、まさか電波妨害するだけのショボい術じゃねぇよな?」
「心当たりは?」
「……ないわけじゃない。正直、当たってほしくねぇけど」
短い問いかけに、いっそう声色が低くなる。
「禁術かも」
「……そのことを、どこで?」
禁術に認定された魔術は、その内容から名称に至るまで、あらゆる情報が破棄・隠蔽された。
いくら慎士といえど、ほぼ残っていない、あるいは国家規模でガードされた情報を調べられるとは思えない。
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