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禁術ともなれば、発動には膨大な魔力が必要になるだろう。
張り巡らされたパイプラインを駆使して、多量の魔力を賄ったとすれば、説明はつく。
「名前は【嘲ル森】(ヴァージャ=コフィン)。簡単に言うと、指定したエリアを封鎖する魔術だ」
言葉を切って、辺りの様子を窺う慎士。木宮もつられて見回す。
小さな話し声や嗚咽が聞こえる。自分たちの会話に耳を傾ける者はいないようだ。
教員も、こちらを注視こそすれ、盗み聞きや着席指示をする気配はない。
「電波や魔力を妨害するらしい。幹の硬度も半端じゃねぇから、よっぽど強力な術式でもない限り、突破は無理だろうな」
「……まあ、あの森はいずれ外の者たちが破壊してくれるだろう。問題はあちらだ」
宍戸の視線と親指が、遠くにそびえる歪な塔を指す。
「あの塔は何だ。出所次第では、僕たちは自警団さえ信用できなくなる」
「理事長が持ってた情報の中にはなかったけど……あの規模は禁術だろ、たぶん」
「……フォーラット家か?」
「さあな。調べようがなかったから、何とも言えねぇよ」
桜峰に拠点を置く、もう一つの王族の名を出す木宮に、慎士は曖昧に答えた。
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