1章

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変異を引き起こした瞬間の苦痛は、言葉で表現できないほど凄まじい。思い出すだけで背筋が凍る。 そんな痛みを、何の罪もない数百万もの人が味わい、かつての心も尊厳も失ってしまった。 ひどいとしか、言い様がない。 「……この鳥──変異獣とでも仮称しようか。これは群れで飛んできたと言ったね?」 気を取り直して、デルタに質問する。 変異獣を押さえ込みながら、首を縦に振る彼に続き、ファイが証言した。 「群れって言っても、四羽くらいよ。特に連携してたわけでもないし」 「私が気になっているのは、協力していたか否かじゃない。そいつらが一緒に行動できていたという事実だ」 相変わらず、魔法陣が示す現状に異常はない。確認してから続ける。 「魔流毒で変異した個体は、目の前の生物を見境なく襲う。共食いをしなかったのはおかしい」 「そういえば、そんな実験もあったわねぇ」 「さすがファイおばさん! 長く生きてると色々なことを知ってるんですね!」 「ミンチにするわよ、クソガキ!」 実に不毛な喧嘩だが、こんな時でも普段通りに動けるのは、ある意味では羨ましい。
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