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それでも、この状況で最も重要なのは人材だ。精神的に無事なら、生徒にも動いてもらわなければならない。
"みんなが辛い"現実から、子供であることを理由に、逃げてはいけない。
「君たち三人も、学園整備に奔走して……いや、その前に、それを生物の責任教諭に分析してもらってくれ」
白く濁った目で辺りを睨む、異形のカラスを指して命じる。
「え~、ボク街の方に行きたいんですけど~」
「何を分析すれば?」
露骨に嫌がるラムダに反して、デルタの言葉は実に平坦だった。
「魔流毒は、様々な有害物質が混ざり合った毒ガスだ。成分を詳しく分析すれば、街の生物がどう変異したか、その傾向くらいは読めると思う」
我ながら残酷な提案だ。唇を噛まずにはいられない。
変異した者を敵とみなし、有する能力を推測して、迎え撃つ準備をしているのだから。
「……右京君は、さっき指示した通りだ。危なくなったら即時撤退すること」
「分ぁってます」
言葉遣いはおざなりだが、身に纏う覇気は静謐だ。"葬送獣"の二つ名は伊達ではない。
輝一と結ばれたことで、ますます鋭気に磨きがかかったようにも見える。
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