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突然、自分たちを見張っていた教員が昏倒した。
繋がらない電話と回線に苛立ち、貧乏ゆすりをしていた慎士の足が止まる。
続いて顔を上げた彼の、燃えるように赤い両目は、
「し~」
教卓に突っ伏す男性教諭の背後で、「静かに」とジェスチャーする西沢 拓真を捉えた。
右手には、空の注射器。
「ちょ、お前……!」
「心配しないで。ただの超即効性睡眠薬だから」
「それはそれで心配だっつーの。てか、そうじゃなくて……!」
「いいから静かにしとけ」
突如として発生した凶行を咎めようとするも、すかさず口を塞がれる。
あちこちに元気に跳ねる金髪。贅肉のない痩身。関 凜太郎だ。
「藤咲、原田。起きて見張ってます、っつー感じのポーズとらせてくれ」
「うん」
「分かりました」
小声に頷いたのは、藤咲 中と原田 美嶺。
教師の体を起こし、両腕を教卓に乗せる。遠目には、うつむいているように見えるだろう。
まるで示し合わせたような手際のよさに、目を丸くしていると、
「どういうつもりかな?」
宍戸が立ち上がり、関に詰め寄ってきた。
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