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質問を受けた関は、慎士を解放して苦笑する。
「どういうって、お前らを学校の外に出す準備のつもりだよ」
「君は僕の話の内容を理解できなかったようだね」
ため息一つ。軽蔑しているというよりは、驚き呆れている色の方が強い。
「他人の気持ちを踏みにじって、スタンドプレーの手引きをするのは楽しいかい?」
「お前にそんなこと言われる日が来るとは思わなかったぜ」
苦笑いから一転、楽しそうな笑みを弾けさせる。
皮肉を一切寄せつけない、底抜けの明るさだ。さすがの宍戸も口をつぐむ。
「そりゃオレだって、お前の方が正しいって思うよ。街に出るのは危なすぎる」
「じゃあ何で……」
「……それは、オレらみてぇな何も知らねぇガキに限っての話だと思うからだ」
戸惑いを露にする慎士に、答える関の声は、笑っていない。
「オレらが知らねぇ"何か"を、お前らは知ってんだろ」
「……」
「別に答えろなんて言わねぇよ。答えられることでもねぇんだろうし」
慎士はふと、肩をすくめる彼から、周りへ目を泳がせる。
いつの間にか、クラスメート全員の視線が集まっていた。誰もがまっすぐな目をしている。
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