1章

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彼らの気持ちを代弁するように、関は次々と言葉を吐き出す。 「でも、その"何か"を知ってるから、体鍛え始めたり、図書館で色々な本読んだりしてたんだろ?」 自分が見ていないところで、木宮や桜田も動いていたのだろう。 そして、言葉にはされなかったが、彼の言う"お前ら"には、ユーリや葛西も含まれているに違いない。 「オレら全員、そのくらい知ってんだ。お前らが腹ぁくくって行くなら、止めるのはヤボってもんだろ」 関は笑っているが、潤いが足りない。仕方ないと割りきりつつも寂しげな、乾いた笑顔だ。 「"何か"を抱えて、がむしゃらに強く──そういうヤツじゃねぇと、出てっても二度と帰ってこれねぇような気がするからさ」 腹の中に、どんな気持ちを隠したのか。 慎士は気になったものの、怖くて聞くことができなかった。 「後のこたぁ任せろ。いざとなったら、オレら全員で理事長に詫び入れる」 ため息を一つこぼしてから、普段の彼らしい、脱力した笑みが帰ってくる。 「だから……オレらの代わりに、見てきてくれ」 関の言葉に、精神的に余裕のない一部を除き、クラスメートが揃って頷きかけてきた。
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