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「あなたも既に勘づいているでしょうが、我々は中心街に魔流毒を散布し、民間人を変異させました。我々とヤツらの力で、この街の住人を一掃します」
「……それで?」
「続いて、魔流毒の痕跡を全て抹消します。少々骨の折れる作業ですが、時間ならいくらでもありますから、ご心配には及びません」
「……その後は?」
「あとは簡単ですよ。あなたと我々の証言で、ヴェッテンハイムに全てを負っていただくのです。
【嘲ル森】も魔力供給所も、元はあの一族が所持していたもの。筋が通っている以上、世間は認めるしかありますまい」
長い説明を終えて、不気味な含み笑いをこぼす巨漢。
彼の言葉を全て、努めて平坦に受け止めて、優はおもむろに口を開いた。
「……街の住人を排除する、とおっしゃいましたが、正気ですか? 桜峰市の昼間人口を、把握していないわけではないでしょうに」
一千万、とまではいかないが、数百万人規模なのは確かである。
中心街の住民を変異させたとはいえ、殺さなければならない者の方が、まだまだ多い。
おまけに、桜峰魔術師学園という魔窟(あくまで優の私見)は、恐らく手付かず。余裕を見せすぎではないだろうか。
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