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否定的な意見を受けても、リグベルは涼しい顔のままだ。
「確かに、我々だけでは不可能かもしれません。しかし、こちらには切り札がある」
「切り札?」
「魔流毒で変異した者の中には、通常の魔族にはない特殊能力に目覚める個体もいる……というのはご存知ですね?」
目を見開く。彼の言いたいことは察したが、にわかには信じがたい。
「……実験したのですか」
「失敗の連続でしたがねぇ。先日無事に七体目が生まれたばかりですよ」
孫の誕生を報告する祖父のような口振りだが、語られているのは、紛れもなく人体実験の結果だ。
その七体を生み出すために、一体どれだけの人間や魔族を、魔流毒の餌食にしたのだろう。
「しかし、あなたも存外のんきな方だ」
底知れぬ寒気に耐える優を、無遠慮に蔑視するリグベル。
ここまで露骨に軽蔑され続けると、逆に清々しい気持ちになってくるから不思議だ。
「これだけ聞き出しておきながら、まだ断る道があるとお思いですか?」
「聞き出してなどいませんよ」
謙遜ではない。彼が勝手にペラペラしゃべってくれただけだ。
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