2章

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否、洗いざらいではない。 気持ちが沈む原因を、彼女はちゃんと分かっている。 (わしは……) 「朱鷺沢さん?」 不意に呼びかけられ、はっと我に返る。ゴンの細い両目が、心配そうに覗き込んできた。 「やっぱりまだ痛むッスか? めっちゃ怖い顔してるッスよ?」 「……いや、大丈夫じゃ」 嘘だ。しかし話してどうこうしてもらうことではない。政府ではないが、これからのことを話し合う方が先決だ。 気を取り直し、顔も引き締め、切り出そうとした直後、 「……みんなに黙って一人で決闘したこと、気にしてンスか?」 ゴンが静かに尋ねてきた。無意識に閉口する。 それを肯定と捉えてか、彼は細い吐息をついて、少々厳しい声になった。 「勝手に動いたのは、確かに反省するべきだと思うッス。でも後悔するのは間違いッスよ」 「……」 「朱鷺沢さんは朱鷺沢さんの、譲れないモン守ろうとしただけッス。誰にも否定なんて……」 「そうではない!」 我慢できず、咆哮する。 途端に咳き込み、めまいと喉の痛みに襲われるが、倒れることも、ゴンの手を借りることもなかった。
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