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頭の奥で、何かが弾けている。血のように赤いそれは、瞬く間に脳を支配した。
ゴンに怒ることなど何もないのに、止まらない。
「そんなこと、いちいち言ってもらわんでも分かっておるわ! 舐めるでない!」
「ちょ、別にそういうつもりで言ったわけじゃ……」
「わしがその程度で参るものか! わしは……わしは……!」
言いながら、心中で嘆息する。苛立つ自分が情けない。
命の恩人に当たり散らした慚愧の念に、時音は身を震わせて下を向く。
毛布を握りしめる両手に向かって、ポツリ。
「巧美を……置いてきてしまった……」
ずっと一緒にいてほしいと、彼女は求めてくれたのに。まっすぐな要求に感激し、共に在ることを誓ったのに。
約束を破ってしまった。一番大切な人を裏切ってしまった。
罪悪感で胸が押し潰されそうだ。今さら気づいた自分が、嘆かわしくて仕方ない。
「わしは……大馬鹿者じゃ……」
絞り出した声を追うように、ほたほたと涙がこぼれ落ちる。
泣くこと自体が久しぶりすぎて、どうやって泣き止めばいいのか、分からない。
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