二人の女

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二人の女によって行われる氏族の代理戦争ははっきりとどちらが勝利すると言うこともなく、微妙なままで入内したその時に就いた位による差をずるずると続けながら今にいたっていた。 強いて言えば、帝に厚遇され、春宮となった男一宮を産んだ皇后が先んじていると周囲も感じていた。 春宮と男三宮の母は創優一族、男二宮は影武と異腹の兄弟達の仲が双方の母の影響をうけるのは致し方ないことで異母の兄弟はやはり不仲であった。 春宮と男三宮は男二宮にも穏やかに接するように心がけていたが男二宮の気性から、なかなかうまくいかないまま年ごとに互いに立場にしばられるようになっていった。 男二宮は母女御の出自を理由に鬱屈があったのである。 母女御は一族の中でも末席の出自で、今回の入内には本来なら選ばれない身の者だった。 惣領姫である姫に問題が起きて代わりの者で間に合わせることしかできなかったのである。 この事実は厳重に秘されていたが、どのような事にもよくあることで知るものは知るという状態でよけいに男二宮を追い詰めていくことになってしまった。
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