395人が本棚に入れています
本棚に追加
/220ページ
…振った相手のこと、考える必要は無いんだよな。
もう終わったことだ。
とりあえず家に帰る前にガイドブックでいろいろチェックして、明日のために準備しておかないと。
楓が好きそうなスポットは、夜景…とかどうだろう…。
ううん…楓って夜景楽しむタイプだったっけ?
その夜景までの道のりが結構険しそうなとこだなぁ。
ガイドブックの写真を見ると、男女が手を取り合い、山道を登ってる姿があった。
2人とも、身なりはボロボロだ。
急な坂道とか多そうだな…。
楓…これ見たら…-
『見て見て!あっちに沢山虫いるよ!』
とか言いそう。
楓が満面の笑みで芋虫を触っている様子が簡単に想像できるな。
「ぶっくく…」
やべ、想像してつい笑っちゃった。
って、そんな場合じゃないよな。
早くまとめないと…。
次にガイドブックのページを捲ると、カラオケボックスが目に入った。
当旅館には、みんなで楽しめるカラオケやゲームセンターもあるよっていう文が書かれている。
カラオケかぁ。
そういえば、楓の歌声って聴いたことない。
何の曲、歌うんだろ。
でも、カラオケはいつでも行けるよな。
カラオケするくらいだったら、二人でどっか歩き回ってた方が楽しいかも。
それに、楓の場合…
『無理無理!潤くん歌いなよ。あ、あ~!急に喉の調子が…げほ…っ…』
とかやったりして…。
考えるだけで顔が緩む。
そんなもしも楓シリーズを考えて笑っていたら、とっくの間に7時で下校時間になっていた。
「やっべ!門閉められる!」
慌てて、ガイドブックやらを鞄にしまい、学校を飛び出した。
外は、もう真っ暗で…雪だけがふわふわと降っていた。
…明日、楽しみだな。
楓に早く会いたい。
最初のコメントを投稿しよう!