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「わ、私…!寒くない!だからマフラーいらない!必要ないよ!」
潤くんの赤いマフラーをすぐに自分から剥ぎ取り、潤くんに押し返した。
「せっかく俺があげたのに…」
潤くんは押し返したマフラーを見て、シュン…と悲しい顔をする。
その顔を見たら、また私はやらかしてしまった!と気付く。
でも、やっぱりマフラーは申し訳ない。これで潤くんが寒かったら嫌だもの。
「ご、ごめんね!
でも私は大丈夫だから」
「もう…。楓はしつこい」
私が持っていたマフラーを潤くんが受け取る。
それにホッとし、「ごめんね」と笑ってみせた。
そう笑った瞬間、また私の首もとが暖かくなる。
下を向くと、赤い毛糸が見える。
「…だ、だから潤くん!私、バカだから風邪ひかないって!」
自分で言ってて悲しくなってきた。
「聞こえない。
楓は、赤いマフラーが似合うから貸してあげるだけ」
笑って言う潤くんの鼻の頭は、ほのかに赤くなっていて。
でも、潤くんは気にせず、スタスタと先を歩いた。
潤くんのことが大好きだ。
好きすぎて、好きすぎて。
たまに辛い。
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