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先に歩く潤くんを見て、私はたまに辛くなる。
潤くんは、正直言って格好いい。いや、正直に言わなくても格好いい。
見た目は、ベビーフェイスというやつで、女子からは常に視線が注がれている。
それに加えて、優しいから、かなりモテる。
いつか、何も取り柄のない私を捨てて、他の人のところへ行ってしまうんじゃないか…。
それがスゴく怖い。
それに、潤くんは必ず…―
「かーえで。早く行くぞ」
「う、うん…!」
考えを振り切り、前を歩く潤くんに近付く。
「あ、ちょっと待って。あっちから行こっか」
「え?でも、こっちからの方が早いよ」
潤くんが行こうとした道は、通学路から外れていて、遠回りしてしまう道だ。
「いいから」
強く腕を引っ張られた。
引っ張られた瞬間、前に見えたのは潤くんがよく一緒にいる男の子たちだ。
見えた。やっぱり…。
深く目蓋を閉じた。
…やっぱり、私の勘違いなんかじゃなかった。
潤くんは、必ず自分の友達から私を遠ざける。
「…なんで、遠回りするの?」
「こっちから行った方が、楓ともうちょっと一緒に居れるだろ?」
その言葉に、私は愕然とした。
それは体の良い嘘なんじゃないのか…。
分かってる。
私を友達に紹介したくないんだ。
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