第二章~レン~

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「はい?」 僕は青年に聞き返した。 「だから、聞いてごらんよ」 自分の言葉を理解しない僕に苛立ったように、青年は言った。 理解できないに決まってるじゃないか、こんなこと。 第一、こんなことする方が馬鹿げてる。 「聞いたとして、何かあるんですか。鏡に話しかけても何も出ませんよ」 僕が言うと青年は顔をしかめた。 「まったく、ダメな王子様だね。なんの変哲もない鏡をわざわざこんな嵐の日に真っ暗な塔へ持ってくる馬鹿がいるかい?」 そう言いながら鏡をコンコンと叩く青年。 「騙されたと思って、やってみろよ」
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