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「この子が、僕を不幸にしてるのか?」
僕は訝しげに青年を見た。
「そうさ。信じられないか?」
青年は笑って僕を見た。
そして、説明を始めた。
「この子が幸せだから、君は不幸なんだよ。この子と君は対になっているんだよ。そう、鏡のようにね」
青年の話をまとめると、こんな感じだった。
鏡の中の少女は王女さま。
塔から見える、あの城の王女さまだ。
この塔は鏡の世界との境目になっている。だから塔は固く鍵が閉められてるんだ。
「とまあ、簡単に言っちゃうとこんな感じ」
青年の話を聞いて、僕はしばらく考えていた。
あの子がたくさんの人々に囲まれて笑顔の時、
僕はひとりぼっちで泣いている。
あの子がシャンデリアの輝く部屋でドレスを着ている時、
僕は小さなランプが力無く光る部屋で質素な服を来ている。
あの子は王女。
僕は王子。
どうして、僕だけが…
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