4月12日 [雨]

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ポツリと、額に雫があたる。 「雨、か…」 俺は無意識のうちに人ごみを離れ、自宅へと足を向けた。 雨が次第に強くなりはじめる。 足取りも自然と速くなる。 いつもより少し遅れて家に着いた。 「ただいまー」 と、玄関を開け靴に手をかけた時だった。 母 杏子が電話で話をしているのが聞こえた。 母の表情は曇っていた。 母は俺の顔を見るや否や、受話器をそっと置いた。 「啓太…」 目に涙を浮かべ俺に言った。
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