それは都市伝説というには、あまりに小規模すぎて……

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→→→チャイムは轟音を立てて鳴り響く。黒板を叩くチョークの音が止み、静寂の中をペンが伝う。 「今日の授業はここまで。今日出したレポートは来週の月曜日までに提出するように」 ゾロゾロと人の波が涼の横を通り過ぎて行った。 かったるいと言っていた授業がこれで終わる。 「退屈だな」 「退屈で当然。面白いことしに学校来てるわけじゃなし」 分かっていても、心が受け入れないこともある。今まさにそれだ。話すことのみが楽しみとなっているこの休み時間。退屈で憂鬱で、無性に腹が立つ。 「暇なら面白い話してやろうか?」 後ろから、アイツの声がした。綺麗に整った髪に、優しそうな目つきの好青年、籐桐 紅馬(とうどう こうま)の声が。
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