序章

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「それはできない相談だ。見逃すと後々面倒なのでな。」 "ヤツ"は男に飽き飽きとした態度でそう言った。 今"ヤツ"の頭の中には、殺す、と言う気持ちよりも倦怠感の方が遥かに強い。 しかし、男にはそう言った物を感じ取ることはできない。 自分は死ぬしかないのだと思っている。 「さて、そろそろ時間も惜しいのでな……」 "ヤツ"の手に雷が溜まる。普通ではありえない事が平然と起きている。 「あ……あぁ……あ……」 男はもう分かってしまった 自分はこれから死ぬ もう助からない 殺される しかし、男は心の中でまだ思っている。生きたい、まだ死にたくない。 「嫌だイヤだいやだいヤだイヤダあぁぁあアアア!!」 「あばよ。」 吐き捨てると同時に鉄線を雷が伝う。 雷は一瞬で男の体にたどり着く。 触れた肌に激痛では言い足りない程の痛み。 痛んだ先が熱でやられていく様。 ついには発火し、男の体をどんどん焼いていく。 しばらく男を焼くのを"ヤツ"はずっと見ていた。しかし"ヤツ"は何とも思わなかった。人を断罪するのは当たり前かのように…… そして焼け切った頃"ヤツ"は通信機器を懐から取りだしある場所へ連絡を取る。 「所長、俺だ。任務完了、回収班をよこせ。あ、後…… ……を用意しとけ。」
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