欠片と自己中とプロローグ

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 斬新な家出をするやつも居たもんだ……。目の前の彼女を見てそう思った。    黄色い満月が暗闇を照らす、午前二時半ちょっとすぎ、コンビニへの近道で小さな自然公園内を横断しようとした時に街灯下のベンチに座っている彼女を見つけた。  公園の街灯が月の光を中継し、その光を彼女の元へ降り注ぐ。いま見ているこの瞬間にも途切れてしまいそうな儚い景色。それが異様に俺の目に留まった。  服装の端々にアニメや漫画で見る『魔法少女』や『魔法使い』を連想させるような特徴的な服。  日本人ばなれした白い肌、絹のような金髪をツーサイドアップ、両目はガラス細工でも埋め込んでいるかのように綺麗な青。  そして自分の背丈の半分はあるようなタンスを背負った少女。  しかし、彼女は何かを警戒しているようなピリピリと張り詰めた空気を纏っているように見える。 「……っ!」  俺の気配に気づいたのか、彼女は警戒していた表情を一気に強張らせ機敏な動きでこちらを向く。  そして、俺を確認すると一瞬だけ安堵したような表情を浮かべるが、 「……なによ」  どうしてか、聞いてわかるくらい不機嫌な声音の言葉を投げ掛けられた。
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