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「ただいま!」 ドアは勢い良く開いた。 「おかえり!」 「どうしたの?嬉しそうな顔しちゃって・・・」 ニヤニヤとした顔の女性は、男性の方を見上げた。 「さっき初めて、お腹の中の赤ちゃんがお腹を蹴ったの!」 「本当か!?」 男性は、女性のお腹に耳を当てた。 「何も聞こえないよ?」 「あははっ!そんなにずっと蹴ってないよ。」 壁に飾っている時計の一番短い針が、急に10を指した。 すると明るかった部屋が急に暗くなり、すすり泣く声が聞こえた。 「ゴメンね・・・ゴメンね。」 女性が泣くと男性は、その女性がどこにもいかないように 強く抱きしめていた。 女性は、最後に震えた声で言った。 「ありがとう。もっと一緒にいたかった・・・」
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