如月は勇気を振り絞ったりしてみる

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自己紹介は滞りなく進み次は俺の目の前の人が言う番。 「如月椛(きさらぎもみじ)趣味は読書と音楽です」 こいつさっきあった女性じゃないか。 薄い黒髪が腰ぐらいまで伸びており、顔は眼鏡と前髪で隠れているが整っている方だと思う。 スタイルはいいが、如何せん胸が皆無に等しい。 断崖絶壁、または草原。 天は二物を与えなかったか。 いらないことを考えている間に次は俺の番だ。 「黄瀬良行、趣味は特にありませんが、充実した学校生活を送っていきたいです」 発表が終わると感じる視線の量。 さすがにあの挨拶で俺の注目度が自然と上がっているみたいで、そのなかに如月さんの視線も感じる。 また同じ視線だ。 眩しいものを見ている瞳。 一体何が言いたいんだ? 「楠田――です!……ってあれ?名前伏せられてない!?」 ……お前は一生楠田だよ。 その後も自己紹介は進みある女性に視線が集まる。 青い。 真っ青とまでは言わないが、その髪は確かに青色が混じっている。
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