如月は勇気を振り絞ったりしてみる

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「ごちそうさま」 食った食った。 今は机にある皿の料理もすべてキレイに無くなっている。 「作っておいて何だったけどもよく食べたわね」 「一番食べたのは凛だよ」 これが中3の……いや、女性の胃袋とは思えない。 明らかに俺の倍以上は食べている。 それなのに本人に苦しそうな表情はなく、食後のお茶を啜っている。 「……時に兄上」 「どうした?」 「兄上はすでに中学を卒業されました」 今日もこのあと昼前と中途半端な時間に高校の入学式があるしな。 凛は何が言いたいんだ? それに凛の話し方はどことなく威圧感があるから萎縮してしまう。 「凛、はっきり言わないと俺も分からないぞ?」 「今から申します。なので兄上はお静かに」 「あっ、ごめん」 ただの前ふりだったのか。 これは悪いことをした。
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