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 家に帰ると居るはずの母は居なかった。 着替えるのも億劫で、そのままベッドに身を投げ出し眼を閉じると、いつの間にか意識が遠のいていた。 「晶……大丈夫?」  気が付くと、母の心配そうな顔がベッドの横にあった。 昼間の吉村との距離より遠くて、何故かそこにホッとする――アイツが異様に近かったんだ、やっぱり。 「ちょっと具合悪くてさ」 「朝からそんなだったら、休めば良かったのに。寝るんだったら着替えて寝なさい。制服、皺になるわよ?」 「そーする……」  部屋を去っていく母の後ろ姿はなんだか小さく感じて。 心配を掛けてしまっている時の表情は昨日までと何も変わらない。 変わったのは自分だけ。 部屋着に着替えて、布団を被り再び眼を閉じる。 その後、今まで通りに家族でご飯を食べて、他愛のない話をして――やっぱり何時もと変わらない時間は過ぎていった。
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