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普段からあまり人と話しているところを見ないし、ましてやこんな表情をしているところなど、見たことはない。
「……吉村悠斗、だよね?」
「何言ってんだ?」
片眉を上げ、顔を顰める。その表情のまま、掌を私の額に宛がう。
「熱はねぇな、たぶん。俺、先に行くからな」
「わ……俺も行く」
この身なりで『わたし』は拙いだろう――思わず今まで通りに言いそうになったのを言い直す。
駆け出す吉村の背中を追い、駆け足で学校へ向かった。
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