#1

23/29
前へ
/31ページ
次へ
「早く食べないと、麺が伸びる」 「……うん。いただきます」  どこか冷たく言い放たれた鈴木の言葉に動揺しながらも、目の前に有る大盛りのラーメンを啜った。 普段乗っているチャーシューの他に、その端っこと思われる大きめの肉の塊と、他のメニューのトッピングの味付け卵が丼の下から出てくる。 いつもより嵩が増して見えたのは、そのせいらしい。 量が多過ぎて食べれるか心配になっていたが、あっさりと胃袋に収まった。 身体も見た目だけでなく、根本的に昨日までとは違うらしい。同じなのは、混乱がまだ治まらない思考だけ。 「調子悪いから帰る――」 「担任とかには適当に言っとく」  とっくに食べ終えていた吉村が、表情を変えずに言う。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

137人が本棚に入れています
本棚に追加