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確かにお母さんは“お兄ちゃん”と言った――まじまじと自分の身体を見ると、明らかに昨日までとは違っていた。
胸にあった膨らみは無くなり、その代わりに股間には今まで無かった物が有る。
高くなった気がする視点から部屋を見渡すと、少しは有った可愛げの有るモノの影は無い。
他人の部屋の様なのに、見覚えのあるものも置いてあったりして、物凄い違和感がある。
ハンガーに掛けてあった制服は、昨日まで有ったセーラー服ではなく、紛いも無いズボンとブレザー。
おまけにネクタイまで掛けてある。これじゃまるで急に男になったというよりは、今までずっと男だったみたい
――階段を駆け下り洗面台の鏡で自分の顔を見ると、面影はあるが、昨日までとは別人がそこに居た。
癖の付きにくい、色素の薄い髪の毛はショートに。茶色を通り越して緑色に近い目の色は代わり無い。通った鼻筋の下には、間抜けに開いている口。
元から中性的な顔立ちだった為か、そこまで変わらないところが、少し悲しいが身長が高いせいで、目線が、見える景色が少し違う。
「朝からなにやってんの? 早くしないと遅刻するけど」
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