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 何処となく棘のある言葉を投げかけたのは、歯ブラシを咥えている妹の結(ゆい)。身長が高く感じたのは気のせいではなく、昨日までよりも小さく見える。 が、態度は昨日までより大きく……至極不機嫌そうな顔でこちらを見る。 「ごめん――」 「別にいいけど」  そのまま口を濯ぎ、こちらには構うことなく洗面所から去っていく。  今までそこまで仲が悪かった訳ではなく、かと言ってべったり仲良しでもなく。 普通の姉妹だと思っていたが、ここまで冷たくあしらわれた事は無い。 本当に、どうなっているんだろう。 見えるものは自分と自分の部屋を除けば一緒なのに、全く違う世界に来てしまったかの様で――混乱しそうになる。 と言うよりも、既に混乱している。 「晶、いい加減に用意しないと遅れるわよ?」  状況がいまいち掴めないまま、呆然と鏡を見つめていると母が声を掛けてくる。
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