人を愛す妖怪の教師

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「お初にお目にかかります、上白沢女史。本日、玄さんよりご紹介を受け参りました。マルコ=エンヴィンツと申します。どうぞよろしくお願いします」 そう言い腰を折るマルコに慧音は面をくらった。 ここ人里にいる一般的な日本人から離れた容姿や服装もあるが、その堅い挨拶に一番の驚きを受けた。 今まで色々な人に会ってきた、勿論外来人も多く見てきた。だが、ここまでの挨拶は滅多に受けた事はない。 「ああ、…はい。よろしくお願いします」 つい吊られお辞儀をし、はっとする。 「では、早速なのですが、補強をする場所は何処でしょうか?」 「えっと、西側の部屋の屋根なんだが、大丈夫か?」 「大丈夫です。問題ありません」 「そうか!ありがとう。梯子と道具もう用意して置いてあるはずなんだ。案内を――」 そこまで言って靴を履こうとしたとき、マルコによって遮られた。
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