人を愛す妖怪の教師

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なるほど、と軽く頷きながらマルコは思う。 彼女はかなり畏ろしい存在である、と。 またそれと同時に 「それに貴方と私は近い匂いがしまして」 恐らく同じ“人種”であると。 再び互いに見詰め合い、笑う。 「なるほど、そうでしたか」 「ええ、ですから私も貴方を認めているんです」 『認めている』 言葉だけだと簡単だが、それはかなり難しく、大変な事だ。 マルコが最も重要視していることの一つで、目標であった。 あまりにも早い事に驚きを覚える。そして同時に納得を得る。 先程から何故彼女が敬語を使うか。 彼女は『外来人のマルコ』から『探究者のマルコ』へ対象を移したのだ、と。 「そうでしたか。それはありがとうございます。しかし、残念ながら貴女のご期待に添える様な答えは持ち合わせておりません」 「そうですか、でしたら残念ですが、致し方ありませんね」 言葉でこそ言うが、その様子は分かっていたかのようであった。
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