人を愛す妖怪の教師

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だがマルコは変わることなく微笑む。 「いえ、そんなものは有りません。私は年相応の力しかありませんし、戦いに関することもかじったくらいです。勿論、超常的な事もなにも」 「そうですか、ならばはっきりと申しますが、止めておくべきです。私も『外』がどんなものかは拙い知識でしか存じませんが、幻想郷は貴方以上に詳しい。正直、貴方では二日と持ちません」 「……」 「郷に入りしは郷に従う。安全に生きたいのならここで過ごすべきかと……。何も自身が行かなくとも、幻想郷の事はわかるはずですから」 黙って聞いていたマルコからも笑みが消えた。 「百聞は一見に如かず。私は『静』より『動』の人間でしてね。自分で見て知りたいんですよ」 「それによって命果てても……ですか?」 「いえ、まさか。生きなくちゃ意味はありませんよ」 マルコの解答に怪訝そうな表情を浮かべる。
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