人を愛す妖怪の教師

13/15
前へ
/87ページ
次へ
夕方になり、慧音はマルコと別れ片付けをした後、帰宅する。 慧音はマルコが不思議だった。 彼は『幻想郷』に受け入れられ、また彼も受け入れている。 “力”が有れば納得は行くが、彼には其を感じない。彼もないと断言した。 ならば何故。 通常、意識無きモノはここに入ってきたら徐々に幻想に染まる。 逆に、意識有るモノは無意識に世界との違いを感じ否定する。そして消えていく。 しかし、彼にはそれがない。 “人”ではないものか。妖怪にも人型は多くいる。 彼もその一端なのかもしれないが、それはないと否定した。 そんな答えの見えない問いを悶々と考えていると、自宅に灯りが灯っているのが見えた。 「なんだ、来ていたのか」 扉を開けた先に見慣れた顔があった。 「うん、まぁね」 「今日はどうしたんだ?妹紅」 靴を脱ぎ彼女と反対側に座る。 「ちょっと食料がなくなっちゃって」 「はぁ、ちょっと待ってろ。今から準備するから」 「ごめんね、ありがとう」 構わないよ、と言いつつ台所に立った慧音は、ふと思う。
/87ページ

最初のコメントを投稿しよう!

39人が本棚に入れています
本棚に追加