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「間違ってたというか……そうではないんだ。なんというか……」
慧音は喉につっかえたような気分に仕切りに唸る。
その様子に妹紅は混乱する。
「なに、なにかマズイの?」
「いや、何と言うか……、彼は“不思議”なんだ」
「不思議?」
彼女らしからぬ曖昧な表現である。
「ああ、違和感と謂うのだろうな。外身と中身が違う様な気がするんだ」
「それって妖怪って事……?」
目を細める妹紅に慌てて慧音は否定する。
「いや、そうじゃないんだ!彼は“人”だ!“人”なんだ!!」
そうであるとまるで妹紅に言い聞かす様に言う慧音。妹紅は益々混乱した。
「慧音、よくわからないよ……!?け、慧音っ!!」
言葉を切り、急に慌てる彼女に慧音は目を丸くする。
「どうした?」
「火!火がっ!!」
「火?って、ぬああっ!?」
振り向いた慧音の眼には、もくもくと立ち込める黒煙。
火に掛けたままだった鍋から立ち込めていた。
慌てて鍋を退けるが、中身は既に食べられる状態ではなかった。
「慧音……」
「……」
あまりの事に話は流れ、彼女らの食事とともに消えてしまった。
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