人里

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「そうですか、まぁ、仕方がないですね。さて、そろそろ私も仕事をするとしますかね」 「いやぁ、悪いねマルコさん」 マルコは「いえいえ」と笑い縁側に立て掛けてある鍬を持ち、畑に出た。 マルコが幻想郷に辿り着いたのは一月前。はじめは誰も彼を相手するものはいなかった。日本人から離れた特徴が表れている彼の容姿のせいで、モノノケの類いと思われていたのだ。 だが、彼はだてに世界を旅してきたわけではなかった。旅と年月の経験から培われたモノを活かし、半月で人里の人々と打ち解ける事が出来た。 今は借宿を貰い、色々な人の仕事を手伝いながら、話を聴いて過ごしている。 「そういえば、マルコさん」 「はい?どうかされましたか」 「いやね、ワシの様な年寄りに話を聴くより、もっと適任がおるんじゃないかい?」 「う~む……言わんとすることはわかりますが、これでいいんですよ。順番です」 「そういうもんかねぇ」 「そういうものです」
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