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信頼を得られた結果として、彼は慧音と接触する機会を受け取ることが出来た。
たが、まだである。
「まずは顔見知り。深追いせずにゆっくりとやるべきか……」
時間はある。
焦りは禁物。
仕損じればここに居られなくなる可能性もある。
「恋愛と同じだな。焦れば幸を得られん。……何を言っているんだ」
自虐するように鼻で笑い、マルコは机へと向かう。
そして、蝋燭に火を灯し巻物を広げ筆を取る。
『 』
表紙に書かれていないそれは、ここ幻想郷で見聞きした事を書いたもので、流れ着いてから一日足りとも欠かすことなく書いている。
「世に出ることの無いモノ。だが、書くことは止められぬよ」
それ故、題などない。
窓の格子越しに浮かぶ月を一蹴し、マルコは筆を走らせた。
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