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──これは一日が期限です。試練は様々です。どうか失敗のないようお過ごし下さい。
はぁ、と一人で光希はため息をついた。試練はどんなものなのだろうか。一つではないとレオは言っていた。行動しないと試練は見つからないらしい。
光希は今、道路脇で行き交う車を見ていた。先程、移動する際に車に轢(ひ)かれそうになったが、何せ自分は幽霊。車は通りすぎていくのを体で感じては心の中で安堵していた。
光希の本体は病院に運ばれた。それだけしか知らない。レオによると接触を避けてほしいと言われた。
さてどうするべきか……。
「ねぇ」
「っ!?」
声をかけられ、光希はびくっと体を震わした。声が聞こえた方向を向いた。
そこに六歳くらいの幼い少女が立っていた。腰までの長い黒い髪に切り揃えた前髪、オレンジ色のマフラーを巻き、白いワンピースを着ている。
「えっ……え?」
自分は幽霊なのにこの子は見えている事に動揺してしまい、頭の中が混乱している。
少女は目をぱちくりと瞬きさせ首を傾げていた。
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