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「で、光さんはホントに未来から来たんですか…?確かにこの手紙は俺の書いたのと同じだけど…」
俺は床に広げてある 光 さんが持ってきた手紙を見た。俺のと比べると 確かに同じだ。
違うところといえば、透明フィルムで覆われてることと、紙が黄ばんでおり文字が所々 消えかかっているとこか。
「おい、おい、翔は俺より大先輩だぜ、タメ口でいいよ。しかも光さんだなんて。なんならお兄ぃとよんでくれてもいいぞ!しっくりくる」
そのおにぃはニヤニヤしていた。俺の顔色をじっくりうかがっているようだった。
…
それなら…
「じゃあ…、光兄は俺には敬語じゃないとね」
さらっと 光兄 と呼ぶ。
「こうにいぃ!?ははそうですね。おじいちゃん」
軽そうな男だ。
俺は苦笑いを浮かべる。
「で、俺が未来から来たこと疑ってんの?」
笑みを浮かべながら光兄が尋ねる。
「疑ってるていうか… 突然だからビックリして…」
正直な感想を言う。
「いやぁ時間も指定なかったから誰もいない時間を見計らってね。その間、色々本読ませてもらったよ。未来には紙の書籍とかないから、いい経験だったわ!」
「そんなに本読む時間あったの!?何も盗んでないよね!?てか、光兄がなんかするたび未来変わるんじゃ!?危険でしょ!」
手紙を書くときは、考えてなかったが 冷静になると危ない 気が…
「大丈夫大丈夫。確かに未来人が過去のもん盗むと、未来変わるな。でもそれは未来人が勝手に過去を訪れた時の話。でも俺は違う」
そう言って光兄は床に置いてあった 手紙を手にとった。
「俺はこいつで呼ばれた訳であって、勝手には来てない。つまりここで俺が何しても、あまり時間軸には影響しないんだ。もちろん多少のズレは生じるけど」
「時間軸?」
聞き慣れない単語が出てきた。
「ああ、この世界っていうのは一本の線なんだよ」
これを見な、と言いながら空中に蛍光ペンで書いたような一本の線を書き出した。
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