47人が本棚に入れています
本棚に追加
「で、この中心が現在…2020年とする」
空中に当然のように 書き出してるが、こっちは驚きでいっぱいだ。
「ちょ……何これ?」
光兄は 不思議そうな顔で俺を見て、
「え、エアーペンまだこの時代なかったけ?」
見たことも、聞いたこともない。俺はこくりと頷いた。
「まぁ、ただの空中に書けるペンだな。紙が要らないという超エコなただのペン!」
「ただの」を2回言うほどだから 未来ではホントに“ただの”ペンなんだろう。
「へぇ。 で 時間軸の話の続きを」
「はいはい。さっきも言った様に世界はこのように一本の時間で存在しているんだ、これこそが時間軸」
なるほど、ただ単にこの世界を一次元で書いただけか。
じゃあ…
「さっき言ってた時間軸がズレるっていうのは?」
例えば…
と言いながら光兄がもういちど、書いた時間軸の方に目をやる。
「この中心…2020年に、ある人が未来から勝手にタイムマシンを使って来たとしよう」
光兄は右の方から中心に向かって半円に矢印を書く。
「で、このトラベラーが2020年で人殺しをしたとする。」
続けて中心にグルグルと印を付ける。
「その瞬間ここは分岐点となって…」
そう言って光兄は分岐点から斜め上に向かって一本線を書く。
「違う時間軸が生じる。いわゆる、平行世界…パラレルワールドができてしまうんだ」
俺は 黙って光兄の話を聞いていた。
最初のコメントを投稿しよう!