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職員室に着き、ノートを担任のデスクに置いて、職員室を後にしようとしたら、一人の教師が私達に話し掛けてきた。
「ブレードランナーか、いい作品を識っているね」
私達が訝しげな表情を見せると、その教師は珈琲を飲んで話を続けた。
「すまない、さっき君たちが廊下で話していた内容が聞こえてね。君たちは、「アンドロイドは電気羊の夢をみるか」を読んだ事があるかい?」
幸が首を横に振る。私はありませんと答えた。しかし、その本の事は識っている。ブレードランナーの原作となった本だ。内容的に、今は存在しないだろう。
「もし、読める機会があれば読んでみるといい。映画とは内容が違う。きっと、今の世の中なら、衝撃を受けるだろう」
「先生は読んだ事あるんですか?」と幸が尋ねた。
「あるよ、昔にね。また、読んでみたいものさ」
そう言って、その教師は職員に一人によばれ、私達の目の前から消えた。
「静香、あの先生だれだっけ?」
「知らない」と私は答えた。
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