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「こりゃ、ひでぇな…。」
掛けられていた青いビニールシートを捲り、そこに横たわる遺体を眺める。
その遺体は頭部が陥没し、犯人がどれだけ力を込めて殴ったかを物語っていた。
顔は無事だが、頭頂部付近は、まるで空のペットボトルを押したみたいに『ベコッ』とヘコんでいる…。
ワシの名前は鬼頭 平蔵。
ワシが今いるのは、とあるマンション。
ここに来たのは一本の電話からだった。
『人が死んでいます!』
そんな通報を受けたことで、捜査員と共にやって来たのだ。
「警部補!鬼頭警部補!」
ワシを呼ぶ声。
「ん。どうした?」
声のした方を振り返ると、そこには制服に身を包んだ巡査の姿。
そいつがワシに向かって敬礼をする。
「被害者は君嶋 英彦。
このマンションの住人であります。」
「…で?」
「はっ?」
ワシの一言に戸惑いの顔を見せる巡査。
「『はっ?』じゃねぇ。何か犯人に繋がる情報はねぇのか?」
「そ、それはまだ…。」
ワシの言葉に、巡査は明らかに萎縮する。
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